Knocks me off my feet

主に俳優の林泰文さんを褒めまくるブログ

この世で一番の幸福とは(天晴れ夜十郎・19話)

あらすじ

お絹(黒木瞳)の紹介で米問屋の秋田屋で働くことになったおれん(永作博美)に、越後から出稼ぎに来ている純吉(林泰文)が思いを寄せる。
だが、おれんは夜十郎(阿部寛)に夢中。
その夜十郎が、鳥居(石橋蓮司)の手下の黒川(千葉哲也)に絡まれていた純吉を助けた際に夜十郎とお絹に、おれんが好きだと打ち明ける。
一方、夜十郎はお絹にせっつかれても、おれんに自分のことをあきらめるように言い出せなかった。
そんな折、黒川が秋田屋の蔵から金を奪おうとする。……



abehiroshi.la.coocan.jp
※結末も書かれています



感想

純吉さん、その名の通り純真なお方。越後から出稼ぎにきているというのも、地元では米が不作にも関わらず、厳しい年貢の取り立てに遭い家族を養うためである。昼は米問屋、夜は同郷のものたちとそば屋を営み、昼夜を問わず働いている。性格は控えめでちょっと鈍くさい。
かたやおれんさんは元気ではつらつとした活発な女性。そりゃまあ惚れてしまうのも訳ない。


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米俵も満足に運べず「しっかりおし!」と怒られる始末。頑張れ。


ある日、純吉さんは同心の黒川に金を寄越さないと国に返すぞ(江戸追放)と脅される。すごすご引き下がる純吉さんを見かねて正義感の強いおれんさんが守ってくれるんだけど、黒川に突き飛ばされてケガをしちゃう。はわわはわわ状態の純吉さん、好きな女一人守れずにしょんぼり…。


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とにかく気が弱い


思わぬ反撃を受けた黒川連中はどうにも気に食わない。純吉さんたちの営むそば屋を襲撃。しかしタイミングよく訪れた夜十郎・お絹の2人。見事奴らを撃退。
お礼にそばをご馳走し、おれんさんへの思いを吐露。いかにも気弱な純吉さん。夜十郎さんみたくオラも強くなりてえ、どうしたらそんなに強くなれるのか。そんな彼に対して夜十郎さんのアドバイスは「勇気を出せ」。


一方おれんさん、どう考えても黒川が悪いが、奴はそれでも同心。反撃した一件で逆に黒川に秋田屋への押し込みに協力しろと脅されてしまう。
すんでのところで押し込みに気付き、秋田屋へ突撃する夜十郎さん一味。


気丈にもおれんさんが反撃にでるが、逆に刃物を突き付けられてしまう。大ピンチ。


そこで思い出す。夜十郎さんの「勇気を出せ」。
スキをついて純吉さんの反撃!


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やるじゃん


そしてついでのプロポーズ。

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おらと一緒になってくれ

おれんさんも受け入れて、めでたく2人はゴールイン。


長屋のみんなに見送られながら一緒に越後へ出発する2人。
だけど夜十郎さんを見つめるおれんさんが一瞬寂しく見えたのは気のせいだろうか。。。

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とにもかくにもおれんさんは夜十郎さんが大好きなんですよ。猛烈なアピール。でも彼にはお絹さんがいる。それもわかった上で「諦めない!」と宣言。とってもまっすぐな女の子なんです…


劇中でおれんさんが夜十郎さんのことを想いながら町を歩くシーンで流れる高橋真梨子さんの「君の海に」。このドラマの主題歌がこのタイミングで使われるということは…。そして歌詞をよく読むと、好意に気付かずに別の人を好きになったが、今になってそのことに気付いてまた君に会いに行きたい、という歌(私の解釈が正しければ)で、歌いだしの「貴方には 彼女 似合いだね」というのがおれんさんなんじゃないか、と想像させる。(しかも劇中ではわざわざ歌詞の字幕が付く)

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おれんさんのための曲なんじゃねえか、とすら思うんだけど、そんな状態で純吉さんと幸せになれるんかいな…とちょっと不安に思ってしまった。。。

そしてそして、純吉さんのそういうポジション(本命ではないが物語上一緒になるみたいな)、役柄としては泰文さんに似合ってしまうのか、、、これがバイプレイヤーの悲しいところでもあるな。でもまあ、バイプレイヤーあってこその主役、物語ですよ。
越後(たぶん)の方言で話してるんだけどまあじナチュラル。もどかしいくらい小心者だし、でも心根はすげえ優しくて働き者なんだな、というのがよ~く伝わってきます。本当になんでもできるんだな、演技上手すぎなんだよな。。。だから好きなんですけど。



さて、ファンとしては一番盛り上がるシーンがございます。


黒川に絡まれた純吉さんを助けたために怪我をしたおれんさん。もちろん好きだからということもあるだろうけど、かばってくれたおれんさんに感謝とともに申し訳なさも感じていたのでしょう。純吉さんが看病するんです。


夜の仕事の合間、作ったそばをおれんさんにふるまうんですが怪我でお箸を上手く使えないので、純吉さんが食べさせてくれるんです。
どうです?羨ましいですよね。私は羨ましいです。


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おれん「美味しい!」純吉「いがった~(天使の笑顔)」 私(尊い…!)

すごく素敵なシーンです。ファンなら誰しも「うわあ~~~泰文さんにあーんしてもらいたい~」などと思うのではないでしょうか。


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は~~~~~そば食わされてえ~~~


と、ここまでだとただのめちゃくちゃ気持ち悪いファンなのですが、真面目な話をすると私はとっても印象的で神聖なシーンだなと思っているのです。


このシーンで流れている曲が「Nature Boy」。ナット・キング・コールが歌ったジャズスタンダードの超超超名曲です。番組オリジナルかなあ、サックス一本でしっとりと聴かせます。。。くーっ!
歌詞は以下を参照。

strongerthanparadise.blog.fc2.com
ロバート・パーマー関連でも神コンテンツを執筆している方

ameblo.jp


このNature Boyがまさに純吉さんではないのかと思うのです。自然=純真 の子、そして 純真=純吉 です。なのでこれは純吉さんのテーマソングと言えるのではないでしょうか。


遠い越後の国からやってきて、少し寂しい表情で、でも賢い(優しい)人。
そして、おれんさんを看病するその姿に、

"The greatest thing you'll ever learn
 Is just to love and be loved in return"
(この世で一番の幸福とは 愛を捧げ 愛に与ること)
(まずは自分から愛を与えることさ そうすれば愛はかえってくる それが人間が学ぶべき 最も大切なことなんだ)

を見た気がしました。
確かにおれんさんに思いを寄せているからこその行為なのかもしれません。ですが、この看病している姿からは下心なく、心の底から彼女を心配し支えになってあげたい、という純吉さんのまっさらな、素直な思いを感じたのです…。見返りを求めない愛というか…。結果的に純吉さんの行為はおれんさんの心を打ったわけだしね…。


異性だからとか身内だからとか、これしたらモテそうとかこうしたら振り向いてもらえそうとかそういう打算のない愛。とても美しいじゃないですか。これぞ人間愛ですよ。

もしこれを表現するために狙って「Nature Boy」を流していたとしたら、めちゃくちゃセンスあるなって思いました。すっげえ良いシーンですよこれ(そしてそう思った視聴者がどれくらいいるのかはわからないけれども)


おれんさん、純吉さんできっと間違いないから幸せになってね。
そういや一枚も阿部ちゃんの写真がないですね。。。主人公なのに。。。


データ

タイトル:金曜時代劇 天晴れ夜十郎 19話「おれん慕情」
放送日:1997年2月21日
放送局:NHK
役名:純吉


元ネタ

ネイチャー・ボーイズ

ネイチャー・ボーイズ

  • アーティスト:小曽根真
  • 発売日: 2009/06/24
  • メディア: CD

本来ならナッキンコールを挙げるべきでしょうが、私の大好きな小曽根真さんでここはひとつどうぞよろしく。
しかし時代劇に似合いますよね、ジャズ。昔見ていた「秘太刀馬の骨」でも近藤等則さんが音楽担当していたりして、かっこよかったなあ。あとは何といっても鬼平犯科帳のジプシーキングスです。良いよねえ。